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深刻化する「薬が足りない」理由…せき止めの処方は必要最小限に 薬局では入荷3か月待ちも インフル流行入りで危機感 福岡

暮らし

2024/11/28 18:00

福岡県が28日に発表した感染症の発生状況では、インフルエンザ、マイコプラズマの感染者が前週に比べ大幅に増えています。

治療には薬が必要ですが、その薬が今、不足しています。



福岡市西区にある病院では例年この時期、かぜやインフルエンザといった感染症の患者が増えますが、今ある問題に頭を抱えているといいます。

◆井上さとし内科 井上聡 院長
「効かなかったらもちろん追加しますけど、今までだったら1週間出していたのを、思いっきり制限している感じです。最低ラインで治したい期間しか出さない」

今、この病院で必要最小限に制限しているのは、せき止めの薬の処方です。

入荷が少なく、なかなか手に入らない状況になっています。

◆井上さとし内科 井上聡 院長
「10月くらいからのどの痛みとか発熱の患者さんは本当に増えて、その都度、薬を出すんですけども、せき止めがないとかたん切れの薬がないとかいう状況がだんだん出てきている」



近くにある薬局を訪ねてみると…。

◆野間薬局 豊田貴明 薬剤師
「抗生剤が出荷調整であまり入ってきていない状態になりますね。液体でいうと、(せき止め薬の)ムコブロチンシロップとか1年通して少ない状態ですね。せき止めはずっと続いてますね、足りない状況」

せき止めのほか、一部の抗生剤などで製薬会社からの出荷調整が続き、この薬局では他の薬局と融通しあいながらなんとか薬を確保しているといいます。



そうした厳しい状況のなか28日、うれしい荷物が届きました。

◆野間薬局 豊田貴明 薬剤師
「ちょうど来たのはせき止めの薬、デキストロメトルファン。待望のお薬になります」

数年前まではすぐに届いていた薬が、3ヶ月ほども待たされ、ようやく届いたのです。

◆野間薬局 豊田貴明 薬剤師
「普通のかぜの患者さんも使われているので、発熱の患者さんはほぼほぼ(処方が)出るかなという印象ですね」

せき止めの薬については一息つけそうなものの、感染症のピークはまだこれから。

28日に発表された福岡県内の感染症の患者数は、定点医療機関で前週と比べてインフルエンザが1.7倍、流行が続いているマイコプラズマ肺炎が1.3倍となっています。

◆井上さとし内科 井上聡 院長
「感染症の患者数が減る頃までは問題が続くのかなという印象ですね。これだけいろんなシステムも準備して、医療界でせき止めが少ないというのはなんとも悲しい感じがしますね」

寒さが厳しさを増し、さらに患者の数が増えるとみられるせきを伴う感染症。

薬不足をさらに深刻化させないためにも、感染予防がますます重要となっています。

■薬の供給不安が続く理由



業界団体の調査によりますと10月には医薬品全体の約2割が出荷停止や限定出荷となっていて、全国的に「薬の供給不安」が続いています。

ではなぜ、このような状態になっているのでしょうか。

薬の原料は主に海外から輸入していますが、円安でコストが大きく上がっています。

その一方で、今年改定された薬価=国が定める薬の価格は低く抑えられています。

つまり、製造コストは上がっているのに高く売れないということで、採算が合わない薬もあり、製薬会社としては薬の増産に踏み切れないということです。

さらに、薬の製造は年単位でスケジュールが細かく決まっているため、急な増産は難しいということです。

薬不足は感染症が落ち着く春先には少し改善するとみられていますが、この冬は医療現場で薬のやりくりをしながら乗りきることになりそうです。
福岡県が28日に発表した感染症の発生状況では、インフルエンザ、マイコプラズマの感染者が前週に比べ大幅に増えています。

治療には薬が必要ですが、その薬が今、不足しています。
福岡市西区にある病院では例年この時期、かぜやインフルエンザといった感染症の患者が増えますが、今ある問題に頭を抱えているといいます。

◆井上さとし内科 井上聡 院長
「効かなかったらもちろん追加しますけど、今までだったら1週間出していたのを、思いっきり制限している感じです。最低ラインで治したい期間しか出さない」

今、この病院で必要最小限に制限しているのは、せき止めの薬の処方です。

入荷が少なく、なかなか手に入らない状況になっています。

◆井上さとし内科 井上聡 院長
「10月くらいからのどの痛みとか発熱の患者さんは本当に増えて、その都度、薬を出すんですけども、せき止めがないとかたん切れの薬がないとかいう状況がだんだん出てきている」
近くにある薬局を訪ねてみると…。

◆野間薬局 豊田貴明 薬剤師
「抗生剤が出荷調整であまり入ってきていない状態になりますね。液体でいうと、(せき止め薬の)ムコブロチンシロップとか1年通して少ない状態ですね。せき止めはずっと続いてますね、足りない状況」

せき止めのほか、一部の抗生剤などで製薬会社からの出荷調整が続き、この薬局では他の薬局と融通しあいながらなんとか薬を確保しているといいます。
そうした厳しい状況のなか28日、うれしい荷物が届きました。

◆野間薬局 豊田貴明 薬剤師
「ちょうど来たのはせき止めの薬、デキストロメトルファン。待望のお薬になります」

数年前まではすぐに届いていた薬が、3ヶ月ほども待たされ、ようやく届いたのです。

◆野間薬局 豊田貴明 薬剤師
「普通のかぜの患者さんも使われているので、発熱の患者さんはほぼほぼ(処方が)出るかなという印象ですね」

せき止めの薬については一息つけそうなものの、感染症のピークはまだこれから。

28日に発表された福岡県内の感染症の患者数は、定点医療機関で前週と比べてインフルエンザが1.7倍、流行が続いているマイコプラズマ肺炎が1.3倍となっています。

◆井上さとし内科 井上聡 院長
「感染症の患者数が減る頃までは問題が続くのかなという印象ですね。これだけいろんなシステムも準備して、医療界でせき止めが少ないというのはなんとも悲しい感じがしますね」

寒さが厳しさを増し、さらに患者の数が増えるとみられるせきを伴う感染症。

薬不足をさらに深刻化させないためにも、感染予防がますます重要となっています。

■薬の供給不安が続く理由
業界団体の調査によりますと10月には医薬品全体の約2割が出荷停止や限定出荷となっていて、全国的に「薬の供給不安」が続いています。

ではなぜ、このような状態になっているのでしょうか。

薬の原料は主に海外から輸入していますが、円安でコストが大きく上がっています。

その一方で、今年改定された薬価=国が定める薬の価格は低く抑えられています。

つまり、製造コストは上がっているのに高く売れないということで、採算が合わない薬もあり、製薬会社としては薬の増産に踏み切れないということです。

さらに、薬の製造は年単位でスケジュールが細かく決まっているため、急な増産は難しいということです。

薬不足は感染症が落ち着く春先には少し改善するとみられていますが、この冬は医療現場で薬のやりくりをしながら乗りきることになりそうです。

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